その時の衝動に身を任せていたら、生き急いでいると言われるようになった。生に価値を持てない以上、急いでいようかゆっくりだろうが関係がない。むしろ、死ぬために生きているような感覚だ。

 

ただその時を求めていたら、色んなものを失った。

ひとびとの多くは、遠くを見ているように感じる。見えないものに希望を感じ、ただそれに黄昏ているようだ。おれは目が悪い、近くしか見えない、近くにある興味にしか目が向かない。

今この時を捧げられない人間に未来を語る資格はない、そういう風にばかり考える。

 

そう考えていると、未来も今も過去も消え失せた。あるのは存在自体で、そこに感覚は存在しない。ただ在り、ただ消えてゆく。どこかで決められたような規律に従わされるかのように勝手に動く身体、勝手に思ってもないことを話す口、自分は誰であろう。